『チェンソーマン』『ルックバック』などで世界的評価を得る藤本タツキ氏。
学生時代の作品群がどのように映像化されるのか、その魅力と衝撃をネタバレありで徹底解説します！
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『藤本タツキ 17-26』とは？短編集の概要
『藤本タツキ短編集17-21』と『藤本タツキ短編集22-26』の2冊に収められていた全8作品をまとめ、アニメ化したのが『藤本タツキ 17-26』です。
これは、藤本タツキが17歳から26歳までの約10年間に描いた8つの短編作品となりますが、単に若手時代の寄せ集めではなく、彼の創作の萌芽や成長の軌跡が丁寧に刻まれており、一作ごとに試行錯誤や挑戦の跡がはっきりと見て取れます。
キャラクターの造形やテーマの選び方、物語構成の緩急など、後の大ヒット作へとつながる要素が随所に表れ、読者は「この時期からすでに藤本タツキらしさが存在していたのか」と驚かされることでしょう。
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『藤本タツキ 17-26』収録全8作品の一覧表
| タイトル | 収録作品 | ジャンル | 内容 |
|---|---|---|---|
| 庭には二羽ニワトリがいた。 | 藤本タツキ短編集17-21 | ファンタジー | 人類が滅亡した世界で生き残った二人の絆 |
| 佐々木くんが銃弾止めた | 藤本タツキ短編集17-21 | 青春 | 思春期の衝動が炸裂する |
| 恋は盲目 | 藤本タツキ短編集17-21 | ラブコメ | 一途な恋心が宇宙規模で暴走 |
| シカク | 藤本タツキ短編集17-21 | ファンタジー／恋愛 | ねじの外れた殺し屋少女の暴走愛 |
| 人魚ラプソディ | 藤本タツキ短編集22-26 | ファンタジー／恋愛 | 少年と人魚の恋 |
| 目が覚めたら女の子になっていた病 | 藤本タツキ短編集22-26 | ジェンダー | ジェンダーの枠を超えた自分らしさ |
| 予言のナユタ | 藤本タツキ短編集22-26 | ダークファンタジー | 過酷な運命を背負った兄弟の絆 |
| 妹の姉 | 藤本タツキ短編集22-26 | 家族愛 | 姉妹の嫉妬と成長、衝撃のラスト |
『藤本タツキ 17-26』ネタバレ解説｜各短編のあらすじと結末
『庭には二羽ニワトリがいた。』
出典:藤本タツキ 17-26より
©藤本タツキ／集英社・「藤本タツキ 17-26」製作委員会
『庭には二羽ニワトリがいた。』あらすじ
舞台は、宇宙人との戦争に敗れ人類が滅びたとされる地球。
宇宙人の学生・陽平は学校で二羽のニワトリを世話していたが、その正体は着ぐるみを着た人間ユウトとアミだった。宇宙人は動物の識別が大雑把で、鶏を食べる文化もないため二人は正体を隠して平穏に暮らしていた。
『庭には二羽ニワトリがいた。』ネタバレ
一般的な宇宙人は鶏に興味がなかったが、鶏を好物とする転校生が現れたことで命を狙われことなったユウトとアミ。
宇宙人の陽平は二人を守ろうと奮闘するが殺されてしまう。絶体絶命の状況で、人間のはずのユウトが実は宇宙人であることが明かされ、アミの危機を救う。
しかしアミはユウトが宇宙人だったことに衝撃を受け、ユウトを置いて人間がいるとされる山へ逃亡する。
その後の描写はないが、人類はやがて滅亡したと語られる一方、人類が滅ぶ直前に宇宙人と人間が手を取り合ったと語られる。
『庭には二羽ニワトリがいた。』作成秘話
きれいに原稿を仕上げるのは初めての経験で、とにかく時間がかかったという。ネームを描かず、いきなりペン入れを始めたことを本人は振り返っており、実験的かつ学びの多い制作過程だったとされる。
『佐々木くんが銃弾止めた』
出典:藤本タツキ 17-26より
©藤本タツキ／集英社・「藤本タツキ 17-26」製作委員会
『佐々木くんが銃弾止めた』あらすじ
春休みの補修に担任・川口先生に会いたい一心で参加した佐々木。教室に突然現れたのは、かつて川口先生に振られ人生が狂ったと逆恨みする男だった。
銃を突きつけられた川口先生は「私には何をしてもいい、でも生徒には危害を加えないで」と訴える。犯人は川口先生とのセックスを迫り、涙ながらに了承しかける先生を見て佐々木は耐えきれず立ち上がり犯人の放つ銃弾を受ける。
『佐々木くんが銃弾止めた』ネタバレ
佐々木の走馬灯に浮かんだのは、死んだ父に会うために宇宙飛行士を目指すという非現実的な夢を川口先生に語った進路相談だった。
そんな佐々木の夢を応援しつつ、非現実的な返しで「私は神様なんだ」と打ち明ける川口先生を思い出す。
そして、走馬灯の後に、奇跡的に銃弾を素手で止めた佐々木。困惑する犯人に未来から来たと嘘をつき、犯人を説得して逮捕させた。
20年後、宇宙飛行士となり月面に立った佐々木は地球の川口先生と会話を交わす。
父に会う夢は叶わなかったが、無傷で銃弾を止められたのは先生の力ではないかと問うと
「だから私は神様だと言った」
と答えが返る。そんなふざけた返しに佐々木は「あの時だって今だって、銃弾くらい止めてやりますよ」と手を伸ばし、その先に描かれた地球の姿で物語は締めくくられる。
『佐々木くんが銃弾止めた』作成秘話
『鈴木先生』に登場する竹地というキャラクターに強く影響を受けており、外見も内面もその要素を取り入れている。最後のシーンは地球にするか隕石にするかで迷ったと振り返っており、構図や演出へのこだわりが強く表れた制作過程だった。
『恋は盲目』
出典:藤本タツキ 17-26より
©藤本タツキ／集英社・「藤本タツキ 17-26」製作委員会
『恋は盲目』あらすじ
高校卒業の前日、生徒会長の伊吹は、想いを寄せるユリを下校に誘う。
長年秘めてきた恋心を伝えようとするが、次々と障害が現れて二人の下校を阻んでいく。
『恋は盲目』ネタバレ
最後には地球を壊しにきた宇宙人まで現れるが、伊吹は「オレは今、告白をするからそれどころではない」と言い放つ。
ユリは驚きつつも伊吹の想いを受け止める。宇宙人は地球の恋愛事情を目の当たりにしたことで、地球を壊すのをやめると決意をします。
そして伊吹とユリは手をつなぎ、付き合い始める場面で物語は締めくくられる。
『恋は盲目』作成秘話
振り返れば作者の漫画は今に至るまで全て16ページで収められるものを31ページで描いてきた気がすると語っている。
『シカク』
出典:藤本タツキ 17-26より
©藤本タツキ／集英社・「藤本タツキ 17-26」製作委員会
『シカク』あらすじ
殺し屋として名を馳せる少女・シカクに、3500年を生きて退屈していた吸血鬼ユゲルが自分を殺してほしいと依頼する。
しかし殺すことはできず、互いに“かわいそうな存在”だと気づいた二人の間に奇妙な共感が芽生える。
『シカク』ネタバレ
シカクはユゲルに対して特別な想いを持つが、その気持ちがなんなのかわからずユゲル本人に聞くが、ユゲルは風邪だから病院に行けと進められる。
そしてシカクは指名手配されているため病院は警察に囲まれ全国中継をされます。
そんな中で、ユゲルに対し「こんなかわいい子に好かれてよかったね」とカメラを通じて語りましたが、中継をユゲルも見ており、シカクの姿を見て数百年振りに笑っていまいます。
そんな退屈から救ってくれたシカクを自らの血を与え吸血鬼にし、200年後もケーキ作りに失敗したシカクを笑うユゲルの姿で物語は幕を閉じる。
『シカク』作成秘話
胃腸炎の際にも同じようにネームを描いたが、そのときのものは面白くなく担当に通らなかったというエピソードもあり、偶然と実験精神から生まれた作品といえる。
『人魚ラプソディ』
出典:藤本タツキ 17-26より
©藤本タツキ／集英社・「藤本タツキ 17-26」製作委員会
『人魚ラプソディ』あらすじ
海辺の町に暮らす人間と人魚のハーフの少年・トシヒデの宝物は、海底に沈む人魚のピアノ。
ある日、海中でピアノを弾いていたトシヒデは人魚の少女・シジュに窒息しそうになったところを助けられる。
『人魚ラプソディ』ネタバレ
助けられたお礼としてシジュにピアノを教えることとなり、二人は次第に親しくなっていく。
やがてトシヒデは恋心を打ち明けるが、サメに襲われ血を流した彼を前にシジュの本能が暴走し、耳を噛みちぎってしまう。
距離を置いた後、トシヒデは父から「トシヒデと同じように母に襲われたが、それでも愛していた」と聞かされる。
再び海でピアノを弾くとシジュや他の人魚も音色に惹かれ、二人は和解。最後は人魚たちに音楽を届けるシーンで締めくくられる。
『人魚ラプソデ』 作成秘話
本人は「今見ても普通の話」と振り返っている。編集者とのやり取りをきっかけに生まれた短編であり、シンプルな構成の中に詩的な要素と叙情性を込めている。
『目が覚めたら女の子になっていた病』
出典:藤本タツキ 17-26より
©藤本タツキ／集英社・「藤本タツキ 17-26」製作委員会
『目が覚めたら女の子になっていた病』あらすじ
ある日、目が覚めたら女の子になっていた少年・トシヒデ。
クラスの男子たちの嫌がらせの標的にされていたが、助けてくれたのは恋人リエの兄・アキラだった。
『目が覚めたら女の子になっていた病』ネタバレ
アキラの男らしさに「かっこいい」と思ってしまったことを恋人のリエに打ち明けると、リエは「セックスをしよう」とトシヒデに迫る。
そこへアキラが帰宅して目撃してしまい、リエは家を飛び出す前に「トシヒデが好きだから付き合ってあげて」と告げる。
トシヒデはリエを追いかけ、「体は女でも心は男だから、好きなのはリエだけだ」と伝える。リエもその言葉に惚れ直し、二人は仲直りして絆を深める。
『目が覚めたら女の子になっていた病』作成秘話
実験的な題材に加え、公開環境の特殊性も話題となった。
『予言のナユタ』
出典:藤本タツキ 17-26より
©藤本タツキ／集英社・「藤本タツキ 17-26」製作委員会
『予言のナユタ』あらすじ
ケンジの妹・ナユタは「世界を滅ぼす」と予言された悪魔の子として周囲から忌み嫌われていた。
ある日ついに父親を殺してしまう大事件を起こすが、それでもケンジは「悪い人間でもナユタは俺の妹だから」と傍にいることを決意する。
『予言のナユタ』ネタバレ
しかしナユタは魔法で動物を殺し続け、ついに家畜を失った人々が引き渡しを要求。
ケンジは妹を守るため自分がやったと嘘をつき暴行を受ける。ナユタは兄への復讐のため世界を破滅させようとするが、ケンジに頭を叩かれ叱られる。
初めて真っ直ぐに叱られたナユタは涙し、ケンジもまた妹に向き合う決意を固め、人里を離れて二人で暮らすことを選ぶ。
『予言のナユタ』作成秘話
ナユタは作者自身が今でも好きなキャラクターだと語っている。後に『チェンソーマン』につながる要素もあり、短編ながら重要な位置づけとなっている。
『妹の姉』
出典:藤本タツキ 17-26より
©藤本タツキ／集英社・「藤本タツキ 17-26」製作委員会
『妹の姉』あらすじ
光子が美術学校に登校すると、玄関に自分の裸の絵が飾られていた。
それは妹・杏子が描いた作品で、1年間も展示されることに。屈辱を晴らすため光子は妹の裸を描き金賞を取り、同じように1年間展示してやろうと決意する。
『妹の姉』ネタバレ
妹をデッサンする最中、妹から「なぜ就職を選んだのか」と問われ、光子は妹よりも絵が劣っていると思い「絵が下手だから」と答えるが、杏子は「下手じゃない」と否定する。
後日、作品が生まれた背景が“自分の目標”を描くよう指示され、杏子がその対象に姉を選んで描いたことを知る。
光子は妹の思いに気づき努力を重ね、ついに金賞を受賞。
しかし展示されたのは妹の裸ではなく、自らの裸を描いた作品だった。杏子の絵は妹へ「私はこういう人間だ」と教えるための表現であり妹の目標であり続ける思いが込められていた。
そして上京した姉のもとへ妹が転がり込むという姉妹の絆が描かれて物語は締めくくられる
『妹の姉』作成秘話
冒頭が裸体のカラーから始まる構成であり、それを掲載してくれたSQ編集部に感謝していると作者は語っている。姉妹関係を題材に、創作と自己表現を重ね合わせた意欲作となった。
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アニメ化情報
アニメ『藤本タツキ 17-26』、11月8日よりPrime Video世界独占配信決定
『ファイアパンチ』『チェンソーマン』『ルックバック』の作者・藤本タツキによる短編8作品がアニメ化され、『藤本タツキ 17‑26』として2025年11月8日より Prime Video で世界独占配信されることが正式に決まりました。
今回の発表は国内外のファンに大きな驚きを与え、SNS上でも「まさか短編まで映像化されるとは」と大きな話題を呼んでいます。
このアニメ化は、藤本タツキが17歳から26歳の間に描いた原石のような短編をオムニバス形式で描く前例のない試みであり、ファンはもちろんアニメファンや映像表現に関心のある人々にとっても注目のプロジェクトとなっています。
各短編ごとに異なるジャンルやテーマを持つため、それぞれの作品ごとに異なる映像表現や演出が期待され、原作とアニメの相乗効果が期待されています。
制作体制・スタッフ・キャスト情報
- 監督・制作体制：『ブルーロック』の渡邉徹明ら7名の監督が担当。ZEXCS、ラパントラック、GRAPH77、100studio、スタジオカフカ、P.A.WORKSが制作スタジオとして参加。複数のスタジオと監督が分担することで、多様なアニメーションスタイルが楽しめる点も魅力となっている。
- 声優キャスト：小野賢章、堀江瞬、花澤香菜、杉田智和ら豪華声優陣が出演予定。主要キャラクターに命を吹き込む豪華布陣であり、声優ファンの間でもキャスティング予想が盛り上がっている。
『藤本タツキ 17-26』予告編の感想と評価まとめ
読者の声・SNS反応
- 「学生時代の作品という原点を感じる」「映像で蘇るのが楽しみ！」
- 『予言のナユタ』への評価が特に高く、「胸を打つ」と話題。
- SNS上では「シカクの映像化に震えた」「人魚ラプソディのピアノシーンが楽しみ」といった声も多く、原作の多彩なジャンルごとに盛り上がりを見せています。
- 海外のファンからも「チェンソーマン以前の藤本の作品が見られる貴重な機会」と注目され、英語圏での拡散も加速している状況です。
- また、「学生時代の青さと狂気がアニメでどう表現されるのか気になる」という声や、「妹の姉はルックバックにつながる要素があり必見」といった考察系の投稿も見受けられます。
評価ポイント
- 構成力・テーマ性・ジャンルの幅広さが短編集の強み。
アニメ化により、「藤本らしい余韻と衝撃」が映像でも体感できる期待値。 - 国際的な注目度：海外でも「藤本タツキの原点を知る手がかり」として高評価。字幕・吹替での展開にも期待が集まっている。
- ファン層拡大：チェンソーマンから入った新規読者が短編集にも関心を持ち、古参ファンと新規ファンの交流が生まれている。
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まとめ｜『藤本タツキ 17-26』は“原点が動き出す”アニメ作品へ
記事のポイントをまとめます。
- 藤本タツキが17歳から26歳までに描いた短編を収録した『17-26』は、彼の創作の原点と成長の軌跡を示す作品集。
- 短編集には「庭には二羽ニワトリがいた。」「佐々木くんが銃弾止めた」「恋は盲目」「シカク」「人魚ラプソディ」「目が覚めたら女の子になっていた病」「予言のナユタ」「妹の姉」の全8作品を収録。
- 『庭には二羽ニワトリがいた。』は震災で大学入学が遅れた時期に制作、ペン入れを直接行うなど学びが多い作品。
- 『佐々木くんが銃弾止めた』は作者が最も好きな短編で、『鈴木先生』のキャラクターに影響を受け、ラストの舞台を地球か隕石かで迷ったと語られる。
- 『恋は盲目』は編集部から「ページ数を短く」と指摘を受けた作品で、宇宙人すら巻き込む告白劇が描かれる。
- 『シカク』は高熱時に描かれたネームが元で、偶然と実験精神から生まれた吸血鬼と少女の物語。
- 『人魚ラプソディ』は「普通の話を書けない」と言われた反発心から制作され、詩的で悲恋的な作品に仕上がった。
- 『目が覚めたら女の子になっていた病』はWeb公開作で、容量制限で最後まで読めない人が多かった。
- 『予言のナユタ』は「個性的なキャラクターが描けない」と言われた反発心から生まれた。作者は今でもナユタを気に入っていると語る。
- 『妹の姉』は『ルックバック』の下敷きとなった作品で、冒頭の裸体カラーを掲載した編集部への感謝が語られる。
- 2025年11月8日よりPrime Videoで世界独占配信されるアニメ『藤本タツキ 17-26』として映像化が決定。
- アニメはオムニバス形式で各短編を映像化し、7名の監督と複数の制作スタジオが参加。多彩な演出が期待される。
- 声優は小野賢章、堀江瞬、花澤香菜、杉田智和ら豪華キャストが発表されている。
学生時代の短編8作品が映像化され、『藤本タツキ 17-26』というアンソロジーとしてPrime Videoで世界中に配信されます。
原作ファンはもちろん、映像化によって新たな魅力を発見できる興味深い企画です。
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